2008年、このブログは始まりを向かえた………!
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プロフィール
HN:
無碍
年齢:
31
性別:
男性
誕生日:
1993/07/28
職業:
学生
趣味:
小説を書く&読む事
自己紹介:
平々凡々な高校生。
毎日不良に絡まれたりとか誰かに追っかけられたりしてます。
小説大好き人間。本を持ったら徹夜しても読んでしまう変人。気にしてはイケマセン。
最近微妙にグロッキーだったりハイだったり。
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そんなこんな(どんなだ)で小説を更新。試験勉強大丈夫か自分。
第二章
人狼
ギィン!
聖の爪が朝闇の首に届く直前、それは弾かれた。
………は?
ありえない、と彼女は思考した。
自分の爪は、 人狼族の起源とされる『 神血』の直系の子孫として、並みの 錬成魔鉄ならば紙と同じ。触れただけで切り裂いてゆく。
人狼最大の弱点として知られる真銀。それは人狼の生物概念として取り込んでしまった『 欠点』。しかし『神血』はソレすらも無理矢理にねじ伏せ、切り裂いてしまえる。
―――――なのに。
「貴方っ、一体、 コレは………!?」
彼女の爪を防いでいたのは―――――短剣。
刀身は半透明の紅。刀身の中心は紅が深く、向こう側までは透けて見えない。ソレはまるで血晶から削りだし、圧縮し、ただ研いだだけのような印象を与える。端的に見れば、紅水晶と誰もが答えるだろう。見たところ、 鞣革で包まれた柄も、刀身にも、それらしき 固定術式は見当たらない。だが、そんなもので彼女の爪を防げる訳がないのだ。
そのまま足を踏ん張り、全力で力を込める。だが、
「―――――あのさあ。人狼一体を一人で狩れる魔術師が自分の身体に 固定術式を彫り込んでない訳がないだろ?」
目の前の少年―――――確か 朝闇要と言ったか。彼は表情を呆れたようにこちらを見下ろして溜息と同時に呟いた。
確かに、人狼を一人で狩れるのはほぼ全員がAAクラスの魔術師か、異能者。それも真っ向からの正面戦闘が出来るとなれば、政府が頭を下げるほどの有名人か、恐れられるバケモノ。つまりはS以上。
………確かにSになれば誰でも掘り込んでるわよね………!
奥歯を噛みこんで更に力を込める。だが、
………コレでも全く動かないってどーゆーワケ!?
既に両腕は完全に 変身している。全身も、外見上は変化は無いが、『 神血』を開放して身体能力を数倍以上に高めている。
通常の魔術師―――――十分に通常では無いが―――――でSランクと言えども、純粋な 戦闘執着者か、肉弾戦に特化した異能者でもない限り、吹っ飛ばされる。
………なんで―――――
そこではたと思い出す。昨夜。そう、自分が殺されたあの夜。この少年は、
自分の全力の一撃を、防いでいなかったか?
「―――――!!!」
咆哮。
それは恐れと同時に、人狼族としての戦闘への歓喜によるものだ。
………私は、強者に出会えた………!
ソレも跳びっきり。多分恐らくSS。まさかSSSは無い。なんせこんなところは場違いすぎて『 神聖協会』の連中が皆揃ってひっくり返るほどのことだ。だから―――――
「さあ!!存分に戦いましょう!!」
最大の開放。『神血』を沸騰させ全身に―――――
彼女が変身しようとした。既に制服の幾つかは破れ、その素肌からは茶色い、ソレでいてそこか神聖を思わせるしなやかな毛が見えていた。
直後、暴風が生じた。
「おいおい………マジか」
思わず口をついて出たのはあきれの声。何故なら、
「何でこんなとこで『 獣変調』すんだよ………」
眼前、距離をとった前では、聖が己のうちの血を呼び覚まし、人間から人狼へと変化している。『獣変調』とは、『世界』にとっての『 異常』である『人狼種』を、『ニンゲン』の血を混ぜ、この世界にとって『人狼種』を『 幻想種』から『 現実種』に近づけることで、『世界』にとっての『異常』ではなくし、その存在を顕現させる事。
しかし、『神血』の直系である聖にとって、その血は限りなく『幻想種』に近い。だが、彼女にはもう一つの姿を顕す 潜在能力があった。
そして、『神』の字を冠する通り、それはある種の『超越者』を顕す。
―――――それは、此の世に 現れた。
吹き荒れる風は魔力の塊。
響き渡る轟音は歓喜の咆哮。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」
「『 緋宴』限定最大展開。『 夜影』常時励起状態で固定」
淡々と呟き、久しぶりの 全開状態になる。
―――――『緋宴』により身体能力を概念的に強化。
―――――消費魔力量通常の250%。
―――――『固定術式』『夜影』常時励起状態で固定。
―――――消費魔力量通常の300%。
一気に上昇した魔力消費量。『自分』の一部である何かが失われていく感覚がある。しかし、
………大した事じゃない。
このままでも一週間は余裕。
「―――――卯月」
両手に『卯月』を喚起。自然体のまま両手をぶら下げて構える。
「―――――ッ!!」
長い咆哮の終わり。そのまま突進してくる。
………下位かと思ったら『神血』だとは、思ってなかったなあ………。
本当にだるい。なんで自分ではなくさき姉んとこに行かないのだろうか。
………愚痴っても仕方ないか………!
「ッヴァッ!!」
「締ッ!!」
獣声と共に繰り出される爪の一撃を左の『紅神』で外に弾く。
しかし、 目の前の聖―――――否、『人狼』は、弾かれた衝撃を利用して、回転し、飛び上がり、蹴りを放ってくる。
それを腰を落とすことで避け、左足で踏み込み突きを出す、が、
「―――――」
『人狼』はソレをもう一回転することで右の爪で弾いた。
「―――――く」
衝撃を受け止めきれず、右に流れた体を、着地した『人狼』は着地した直後、四肢で身体を振り、こちらに爪を放ってくる。
「ガァッ!!」
「禍ァッ!!」
右足を地面に穿つように叩きつけ、軸足にして回転。気声と共に両手を振るう。
「ジャッ!!」
「覇ッ!!」
こちらが放てば相手は避け、相手が放てばこちらは受け流す。
「ヴァウッ!!」
「締ッ!!」
逆手での一撃。爪で弾かれる。
「―――――ちっ」
一度反動を付けて背後に跳躍し、距離を取る。
約6メートル。
「グゥゥ………!」
「なあなあ話聞いて………はくれねえよなぁ………」
言った瞬間に威嚇されて肩を落とした。
………正気じゃあないし、どうやって話を聞かせっかな………。
思考する合間に攻撃が来たので迎撃、回避。
………多分あの事件とは無関係だろうし、あああ後が怖ぇ………!
心中で戦々恐々しつつ、一番簡単な方法を考える。
それは、
………一度叩き伏せてから正気に戻して話を聞かせる事………。
自分の実力ならば簡単だろう。背後にでも転移して腱を切ってダメージを与えればいい。
だが、
………後々メンドイんだろうなぁ………。
肩を落として溜息をつき、しかしやるしかないか、と決心し、力を抜いてから顔を戻し、
―――――『魔眼』、発動。
「―――――」
「!?」
死閃を合わせた。
その眼を見た直後、『人狼』の動きが止まり、
………決める!
「――――― 仮穿」
―――――空間用術式『夜影』発動。
「―――――締ッ!」
人狼の四肢の健が穿たれた。
「ガッ!?」
正確に手首足首の腱を穿ち、そのまま身体を回転させて連続の刺突を作る。
「――――― 封刺」
どずっ、と言う鈍い音が何重にも連なり、鮮血が蒼穹の下に舞う。
「ギ―――――!?」
『人狼』が戸惑いと苦痛の呻きを洩らすが無視。
数瞬にして無数の刺痕を付けていく。
最後に、一度タメをつけ、両手を交差するように振りかぶり、
「―――――羅ァッ!!」
一気に振りぬいた。
「イ゛―――――」
肉を割き、骨を断ち、それらの感触を手に得ながら、振り終え、背後に跳躍。身を屈めて制動を掛ける。
眼前、鮮血の舞台となった屋上では、一匹の人狼が無数の刺痕を穿たれ、両腕上腕部から腰にかけてを切り裂かれ、崩れ落ちるところだった。
………もうこりごりなんだがなぁ………。
またも『裏側』に関わってしまった自分に嫌気がさす。
三年前で関わりを切ろうとしたのに、何故まだ続いているのか。
この夜はままならないのか、と思いつつ、口は既に言葉を出していた。
「―――――あー、だりィ………」
「――――――――――――――」
苦痛の咆哮が、途切れた。
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人狼
ギィン!
聖の爪が朝闇の首に届く直前、それは弾かれた。
………は?
ありえない、と彼女は思考した。
自分の爪は、
人狼最大の弱点として知られる真銀。それは人狼の生物概念として取り込んでしまった『
―――――なのに。
「貴方っ、一体、
彼女の爪を防いでいたのは―――――短剣。
刀身は半透明の紅。刀身の中心は紅が深く、向こう側までは透けて見えない。ソレはまるで血晶から削りだし、圧縮し、ただ研いだだけのような印象を与える。端的に見れば、紅水晶と誰もが答えるだろう。見たところ、
そのまま足を踏ん張り、全力で力を込める。だが、
「―――――あのさあ。人狼一体を一人で狩れる魔術師が自分の身体に
目の前の少年―――――確か
確かに、人狼を一人で狩れるのはほぼ全員がAAクラスの魔術師か、異能者。それも真っ向からの正面戦闘が出来るとなれば、政府が頭を下げるほどの有名人か、恐れられるバケモノ。つまりはS以上。
………確かにSになれば誰でも掘り込んでるわよね………!
奥歯を噛みこんで更に力を込める。だが、
………コレでも全く動かないってどーゆーワケ!?
既に両腕は完全に
通常の魔術師―――――十分に通常では無いが―――――でSランクと言えども、純粋な
………なんで―――――
そこではたと思い出す。昨夜。そう、自分が殺されたあの夜。この少年は、
自分の全力の一撃を、防いでいなかったか?
「―――――!!!」
咆哮。
それは恐れと同時に、人狼族としての戦闘への歓喜によるものだ。
………私は、強者に出会えた………!
ソレも跳びっきり。多分恐らくSS。まさかSSSは無い。なんせこんなところは場違いすぎて『
「さあ!!存分に戦いましょう!!」
最大の開放。『神血』を沸騰させ全身に―――――
彼女が変身しようとした。既に制服の幾つかは破れ、その素肌からは茶色い、ソレでいてそこか神聖を思わせるしなやかな毛が見えていた。
直後、暴風が生じた。
「おいおい………マジか」
思わず口をついて出たのはあきれの声。何故なら、
「何でこんなとこで『
眼前、距離をとった前では、聖が己のうちの血を呼び覚まし、人間から人狼へと変化している。『獣変調』とは、『世界』にとっての『
しかし、『神血』の直系である聖にとって、その血は限りなく『幻想種』に近い。だが、彼女にはもう一つの姿を顕す
そして、『神』の字を冠する通り、それはある種の『超越者』を顕す。
―――――それは、此の世に
吹き荒れる風は魔力の塊。
響き渡る轟音は歓喜の咆哮。
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」
「『
淡々と呟き、久しぶりの
―――――『緋宴』により身体能力を概念的に強化。
―――――消費魔力量通常の250%。
―――――『固定術式』『夜影』常時励起状態で固定。
―――――消費魔力量通常の300%。
一気に上昇した魔力消費量。『自分』の一部である何かが失われていく感覚がある。しかし、
………大した事じゃない。
このままでも一週間は余裕。
「―――――卯月」
両手に『卯月』を喚起。自然体のまま両手をぶら下げて構える。
「―――――ッ!!」
長い咆哮の終わり。そのまま突進してくる。
………下位かと思ったら『神血』だとは、思ってなかったなあ………。
本当にだるい。なんで自分ではなくさき姉んとこに行かないのだろうか。
………愚痴っても仕方ないか………!
「ッヴァッ!!」
「締ッ!!」
獣声と共に繰り出される爪の一撃を左の『紅神』で外に弾く。
しかし、 目の前の聖―――――否、『人狼』は、弾かれた衝撃を利用して、回転し、飛び上がり、蹴りを放ってくる。
それを腰を落とすことで避け、左足で踏み込み突きを出す、が、
「―――――」
『人狼』はソレをもう一回転することで右の爪で弾いた。
「―――――く」
衝撃を受け止めきれず、右に流れた体を、着地した『人狼』は着地した直後、四肢で身体を振り、こちらに爪を放ってくる。
「ガァッ!!」
「禍ァッ!!」
右足を地面に穿つように叩きつけ、軸足にして回転。気声と共に両手を振るう。
「ジャッ!!」
「覇ッ!!」
こちらが放てば相手は避け、相手が放てばこちらは受け流す。
「ヴァウッ!!」
「締ッ!!」
逆手での一撃。爪で弾かれる。
「―――――ちっ」
一度反動を付けて背後に跳躍し、距離を取る。
約6メートル。
「グゥゥ………!」
「なあなあ話聞いて………はくれねえよなぁ………」
言った瞬間に威嚇されて肩を落とした。
………正気じゃあないし、どうやって話を聞かせっかな………。
思考する合間に攻撃が来たので迎撃、回避。
………多分あの事件とは無関係だろうし、あああ後が怖ぇ………!
心中で戦々恐々しつつ、一番簡単な方法を考える。
それは、
………一度叩き伏せてから正気に戻して話を聞かせる事………。
自分の実力ならば簡単だろう。背後にでも転移して腱を切ってダメージを与えればいい。
だが、
………後々メンドイんだろうなぁ………。
肩を落として溜息をつき、しかしやるしかないか、と決心し、力を抜いてから顔を戻し、
―――――『魔眼』、発動。
「―――――」
「!?」
死閃を合わせた。
その眼を見た直後、『人狼』の動きが止まり、
………決める!
「―――――
―――――空間用術式『夜影』発動。
「―――――締ッ!」
人狼の四肢の健が穿たれた。
「ガッ!?」
正確に手首足首の腱を穿ち、そのまま身体を回転させて連続の刺突を作る。
「―――――
どずっ、と言う鈍い音が何重にも連なり、鮮血が蒼穹の下に舞う。
「ギ―――――!?」
『人狼』が戸惑いと苦痛の呻きを洩らすが無視。
数瞬にして無数の刺痕を付けていく。
最後に、一度タメをつけ、両手を交差するように振りかぶり、
「―――――羅ァッ!!」
一気に振りぬいた。
「イ゛―――――」
肉を割き、骨を断ち、それらの感触を手に得ながら、振り終え、背後に跳躍。身を屈めて制動を掛ける。
眼前、鮮血の舞台となった屋上では、一匹の人狼が無数の刺痕を穿たれ、両腕上腕部から腰にかけてを切り裂かれ、崩れ落ちるところだった。
………もうこりごりなんだがなぁ………。
またも『裏側』に関わってしまった自分に嫌気がさす。
三年前で関わりを切ろうとしたのに、何故まだ続いているのか。
この夜はままならないのか、と思いつつ、口は既に言葉を出していた。
「―――――あー、だりィ………」
「――――――――――――――」
苦痛の咆哮が、途切れた。
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